家の買い替えを成功させるための重要ポイント

「家の買い替え」という人生の大きなイベントをスムーズに、そして賢く進めるための重要なポイントを分かりやすくご紹介します。

ポイント①:購入する新居に求める条件を明確にする

家の買い替えを考え始めるきっかけは、転勤、結婚、お子様の誕生や独立、ご両親との同居、定年退職といったライフステージの変化、あるいは通勤・通学の利便性、現在の家の広さや部屋数への不満など、多岐にわたります。

買い替えを成功させる第一歩は、新しい住まいに何を求めるのか、その条件を具体的に洗い出し、優先順位を決定することです。絶対に譲れない条件と、ある程度妥協できる条件を事前に明確化することで、物件探しの時間を効率的に使い、後悔や失敗のリスクを減らすことができます。

ポイント②:いつまでに買い替えを完了させるか明確にする

次に、「いつまでに買い替えを完了させたいか」という目標時期を明確にしましょう。この目標時期は、買い替えを決意した理由(例えば、お子様の入学時期、転勤の時期など)や、現在の住宅ローンの状況、経済的な計画などを総合的に考慮して設定します。完了時期が明確になれば、そこから逆算して具体的なスケジュールを立てることが可能になります。

ポイント③:売却や購入に必要な諸費用を把握する

家の買い替えでは、物件の価格だけでなく、売却時と購入時の両方で様々な諸費用が発生します。これらの費用を事前にしっかりと把握しておくことが、資金計画を立てる上で非常に重要です。

売却時に必要な諸費用

家を売却する際には、売却代金が得られる一方で、売却手続きのために必要な諸経費もかかります。一般的に、これらの諸費用は売却金額の3.5%~4.5%程度が目安とされています。主な費用の内訳は以下の通りです。

◎ 仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼し、売買契約が成立した場合に支払う成功報酬です。多くの場合、売買契約締結時に半金、物件引渡し時に残りの半金を支払います。仲介手数料の上限額は宅地建物取引業法で定められており、以下の速算式で計算されます。

成約価格(税抜)仲介手数料の計算式(上限)
200万円以下成約価格 × 5% + 消費税
200万円超 ~ 400万円以下(成約価格 × 4% + 2万円) + 消費税
400万円超(成約価格 × 3% + 6万円) + 消費税

◎ 抵当権抹消費用

住宅ローンを利用して購入した物件には、金融機関の抵当権が設定されています。売却時には、住宅ローンを完済し、この抵当権を抹消する手続きが必要です。買主が新しいローンを組むためにも、抵当権が抹消されていることが前提となります。司法書士に依頼する場合、費用の目安は5,000円~20,000円程度です。

◎ 一括繰り上げ返済手数料

売却時に住宅ローンの残債を一括で返済する場合、金融機関に対して手数料が発生することがあります。費用の目安は1万円~3万円程度ですが、金融機関や契約内容によって異なるため、事前に確認が必要です。

◎ 印紙税

不動産売買契約書は課税文書にあたり、契約金額に応じて印紙税が課せられます。令和9年3月31日までに作成される契約書については、軽減措置が適用されます。

契約金額本則の税率軽減後の税率
10万円を超え、50万円以下のもの400円200円
50万円を超え、100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え、500万円以下のもの2,000円1,000円
500万円を超え、1,000万円以下のもの1万円5,000円
1,000万円を超え、5,000万円以下のもの2万円1万円
5,000万円を超え、1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え、5億円以下のもの10万円6万円

◎ 譲渡所得にかかる税金(所得税・住民税・復興特別所得税)

不動産を売却して得た利益(譲渡所得)には、所得税や住民税などが課税されます。譲渡所得は以下の計算式で算出されます。

譲渡所得 = 譲渡収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)

税率は、売却した年の1月1日時点での不動産の所有期間によって異なります。

不動産保有期間税率
5年以下譲渡所得の39.63%
5年超譲渡所得の20.315%

※税率には復興特別所得税(2.1%相当)が含まれています。

ただし、居住用物件の売却には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」や、売却金額よりも新居の購入金額の方が高い場合の「特定の居住用財産の買換えの特例」など、税負担を軽減できる特例が利用できる場合があります。これらの特例を利用するには確定申告が必要です。

不動産売却時の税金について詳しくはこちら(外部リンク)

購入時に必要な諸費用

新しく家を購入する際にも、物件の購入代金とは別に諸費用が発生します。一般的に、これらの諸費用は購入金額の約6.5%~7%程度が目安とされています。主な費用の内訳は以下の通りです。

◎ 仲介手数料

不動産会社を通じて中古物件を購入する場合に必要です。新築物件の購入や、個人間での直接取引の場合はかかりません。計算方法は売却時と同様です。

◎ 住宅ローン関連費用

住宅ローンを組む際には、金融機関への融資事務手数料や保証料などが発生します。費用の目安は、融資事務手数料として3万円~5万円程度、保証料は融資額の約2%程度(または月々の金利に上乗せ)が一般的です。

◎ 保険料

火災保険や地震保険への加入は必須または推奨されることが多く、その保険料が必要です。保険期間や補償内容によって金額は異なります。

◎ 税金(固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税)

不動産を取得すると、様々な税金が発生します。

  • 固定資産税・都市計画税:毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。物件の固定資産税評価額を基に計算され、購入時には日割りで精算することが一般的です。
    固定資産税 = 固定資産税評価額 × 標準税率(通常1.4%)
    都市計画税 = 固定資産税評価額 × 税率(上限0.3%)
  • 不動産取得税:不動産を取得した際に一度だけ課税される都道府県税です。軽減措置が適用される場合があります。
    不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 標準税率(通常4%、軽減措置あり)
  • 登録免許税:不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記の際に必要な国税です。

※各種税金には軽減措置が設けられている場合がありますので、詳細は専門家にご確認ください。

TOP