いざ住み替えをしようと思っても、手持ちの資金が不足していたり、現在の住宅ローンの残債が多かったりと、資金面に不安を抱えながら家の買い替えを検討されるケースは少なくありません。しかし、資金が足りない場合でも、住み替えを実現するための方法があります。ここでは主な2つの対処法をご紹介します。
対処法①:つなぎ融資を利用する
つなぎ融資とは、現在お住まいの住居を売却して売却代金を受け取るよりも前に新しい住居を購入する場合に、新居の購入費用を一時的に金融機関から融資してもらう金融商品です。多くの場合、現在お住まいの住居を売却した代金で一括返済することが融資の条件となります。
つなぎ融資のメリット
- 住宅ローン実行前の資金確保:
通常の住宅ローンが実行される前に、新居の購入に必要な手付金や中間金などの支払いに充てる資金を確保できます。「購入先行」を選んだ際に、「資金は後から入る予定だが、理想の物件を今すぐ押さえたい」という場合に有効です。
つなぎ融資の注意点
- 金利の高さ:
一般的な住宅ローンと比較して、つなぎ融資の金利は高めに設定されている傾向があります。短期間の利用が前提ですが、利息負担を考慮に入れる必要があります。 - 諸費用:
融資の利用には、事務手数料や保証料、印紙代などの諸費用が別途かかる場合があります。
対処法②:住み替えローンを利用する
住み替えローンとは、新しい住居の購入資金のためのローンに、現在お住まいの住居を売却しても残ってしまうローン残債(オーバーローン部分)を上乗せして借り入れることができる住宅ローンです。家を売却しても住宅ローンを完済できない場合に、選択肢の一つとなります。
住み替えローンのメリット
- ローン残債があっても買い替え可能:
現在の家の売却代金や自己資金だけでは既存の住宅ローンを完済できない場合でも、新しい住まいの購入と新たな借り入れを実現できる可能性があります。 - 支払いのー本化(ダブルローンとの比較):
住み替えローンを利用すると、既存のローン残債と新居の購入資金が一本化された新しい住宅ローンになります。これに対し、支払いを一本化しない「ダブルローン(二重ローン)」では、既存のローンとは別に新居のためのローンを組むため、一時的に2つのローン返済が発生します。住み替えローンはローンを二重に組むわけではないため、ダブルローンと比較して月々の返済管理の負担や精神的なプレッシャーが軽減されると言えます。費用や手間も一本化により整理されます。
住み替えローンの注意点
- 審査条件の厳しさ:
住み替えローンは、新居の評価額以上の借り入れ(ローン残債の上乗せ分を含むため)になることが多いため、金融機関の融資審査が一般的な住宅ローンよりも厳しい傾向にあります。希望しても審査に通らない可能性もあるため、早めに金融機関に相談し、申請準備を進めることが大切です。 - 売却と購入のタイミング調整:
住み替えローンを利用するには、通常、現在お住まいの住居の売買契約と新居の購入契約のタイミングを近接させ、売却物件の抵当権抹消手続きと新居への新たな抵当権設定手続きをほぼ同時に行う必要があります。不動産会社との緊密な連携が求められます。